契約の解除(改正民法)

港区麻布十番所在の鈴木基宏法律事務所です。

 

新型コロナウィルスの影響で、中国から資材が届かない、輸送手段がパンクしていて自社の商品を運んでくれない、従業員が出勤できない、などの理由で納期に納品できない、というようなことがあると思います。

 

このような場合、契約の相手方(債権者)としては、契約を解除できるのでしょうか。

 

民法は、第541条で催告(事前に債務者に「履行してね」と促すこと)解除、第542条で無催告(事前に債務者に「履行してね」と促さない)解除を定めています。

 

債務者が債務の履行をしなかった場合には、まず債務者に対して、「相当な期間内に履行してね」と促し、それでもその期間内に履行しない場合には解除できます。ただ、契約や取引通念に照らして軽微な不履行の場合には解除できません。これが第541条の催告解除

 

債務者が債務の履行をしなかった場合に、直ちに(事前催告なく)解除できる、ただ、その場合は限定されていて、債務の全部が既に履行できない場合や、債務者が全部履行しないことを表示している場合、債務の一部が履行不能で残りの部分では契約をした目的が達成できない場合などに該当する場合に限ります。これが第542条の無催告解除

 

これを見て分かる通り、解除の要件として、「債務者の責めに帰すべき事由」の存在は要求されていないんですね。

 

ですから、新型コロナウィルスの影響で、納期に遅れてしまったり、不完全なものを提供することになってしまったような場合、たとえそれが完全に新型コロナウィルスの影響によるものだったとしても(債務者の責任ではなかったとしても)、契約は解除されてしまうことになります。

 

債務者として相手方からの契約の解除を阻止したい場合には、催告解除の「相当な期間」が経過していないとか、軽微な不履行だとか、相手方が契約の目的を達成できないことはない、など解除の要件を満たさないとして争うことになります。

 

債務不履行の損害賠償請求ができるかどうかは別の話で、こちらについては債務者の責めに帰すべき事由が要件となっていますが、この点については別の機会に解説します。

 

 

 

 

弁護士 鈴木基宏

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