免責的債務引受

港区麻布十番所在の鈴木基宏法律事務所、弁護士の鈴木です。

 

「免責的債務引受」というワードはご存知でしょうか。

 

債務者が債権者に対して負っている債務を第三者が引き受け、これにより当初の債務者は債務を免れるという効果が生じるものです。

 

民法改正前は民法の条文はなく、その要件・効果は判例や学説によっていましたが、2020年4月施行の民法改正により、明確になりました。

 

(免責的債務引受の要件及び効果)
第472条 免責的債務引受の引受人は債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担し、債務者は自己の債務を免れる。
2 免責的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。この場合において、免責的債務引受は、債権者が債務者に対してその契約をした旨を通知した時に、その効力を生ずる。
3 免責的債務引受は、債務者と引受人となる者が契約をし、債権者が引受人となる者に対して承諾をすることによってもすることができる。

 

免責的債務引受は、従前の債務者が債務を免れる、つまりその債務者との関係では債務が免除されます。

 

債務免除は債権者が単独で行うことのできる行為であって債務者の承諾は不要ですので、免責的債務引受も、債務者の承諾は要件とされておりません。

 

債権者と引受人たる第三者の契約によって免責的債務引受ができますが、効力の発生は、債権者から債務者への通知がされた時ですので(2項)、免責的債務引受をする場合には、債権者から債務者への通知をすることを忘れないようにする必要があります。

 

なお、債務者と第三者(引受人)の間で免責的債務引受の契約をすることはできますが、この場合は、債権者が引受人に対して承諾することが要件となります(3項)。

 

民法第472条の2〜4も、免責的債務引受の条文です。

 

テクニカルな話ですが、万が一ご自身が免責的債務引受をする、される又は関与する場合には、民法を見れば条文が載っているということを知っておくだけでも役に立ちますので、頭に入れておくと良いと思います。

弁護士 鈴木基宏

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