拒否権付株式

港区麻布十番所在の鈴木基宏法律事務所、弁護士の鈴木です。

 

拒否権付株式の概要

現行会社法の下では、拒否権付株式黄金株)を発行することができます。

 

拒否権付株式を発行した場合、定款であらかじめ定められた株主総会や取締役会で決定すべき重要事項について、拒否権を有する株主による種類株主総会の決議が必要とされ、同種類株主総会の決議を得ていなければ、その重要事項は効力を生じません。

つまり、一定の重要事項について拒否権を有する株主の賛成がなければ、会社はその重要事項を決定することができません。

 

拒否権付株式の利用例

例えば、後継者に経営を委ねて自らは経営から退いていた場合であっても、取締役等の選任、組織変更その他の会社の重要事項の決定について拒否権を定めておけば、万が一後継者が暴走したり浅薄な知識・経験による決定で会社価値の棄損しかねない重要事項の決定をしようとしても、拒否権を発動することで、これを抑止することができます。

 

問題点

ただし、重要事項について拒否権を有する株主の種類株主総会で否決されることが繰り返されると、結局その事項を決定できず、デッドロック状態に陥ってしまいます。このような場合を考慮に入れた上で(場合によってはデッドロック状態を解消する手はずをあらかじめ整えた上で)、導入する必要があります。

 

なお、拒否権付種類株式を発行すると、上場廃止基準に抵触するおそれが高いため、現在のところ上場会社のうち拒否権付種類株式を発行している会社は、例外的に認められた1社(国際石油開発帝石株式会社)のみのようです。

弁護士 鈴木基宏

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